海外遠征 フランス編 その10 (00/09/05-)


9月5日(火曜日)TASK−1

 太陽が、おまたせしました!といわんばかり青空とともに帰ってきた。待っていましたよ。どうか良いサーマルを☆

 朝のメテオブリーフィングの話では、天気は概ね良好で、サーマルコンディショ ンは良いが最高雲底高度が約2,500mと低い。またもや、逆転層の仕業か!

 ブリーフィング後、プランプラ(オフィシャルテイクオフ)に上がった。テイクオフでは、スクール生が気持ち良さそうに朝のぶっ飛びをやっている。1 1時頃になっても順調にぶっ飛んでいる。普通は、10時過ぎからサーマル活動が始まるエリアなのに、今日はまだ始まらない。条件が渋いのだろうな。天気は良いのに。

 11時45分、タスクが発表された。 距離:65.7km
 12:30 ゲートオープン
 13:15 プランジュ(もう一つのテイクオフ)にてレーススタート

 どんな勝負でも最初が肝心。最初にペースを掴めばあとが楽になる。ポルトガルの大会がそうであった。だから、今日は思いっきりよく飛んでみようと思った。

 ゲートオープン間近に飛んだウインドダミーがなんとかステイしている。さっき まではステイする事すら困難だったのに。「ふむふむ、そこで上げるのかな?」

 定刻通りテイクオフのゲートが開いたが、先の条件が渋い為かなかなか選手が出ようとしない。そんな中でもフランスチームは飛んで行く。おれは、前に機体を広げていたやつのせいで数分遅れてテイクオフし、いつもの リーサイドに突っ込んだ。

 しかし、やはりサーマルが弱く探すのに苦労した。その間に、エリアに慣れたフランスチームやPWC常連の人はそんなカスサーマルを狙わずにどんどんプレスタートパイロン(もしくは、コントロールポイント)に向かっていた。サーマルの上限レベルは2200mと低いものの、小さなサーマルがいくつも発生しておりそのサーマルを乗り継げばプレスタートポイントに到達できリターンも容易に出来たのだ。

 もう、前しか見えていない、振り返る事をしない俺は、知らぬまにどんどん深みにはまっていくのであった。「う〜ん、やっぱ、今日は渋い。」と、思いながらテイクオフ前に帰った頃には、この渋い中トップ集団はプレスタートパイロンでガグルを形成している。

 「やられた!」'渋くても駒を進めろ'という格言を知りながら「もしかしたら、 いけるかも?」と思い、やるだけの事はやってダメだった。

 そこから、いくら頑張ってもスタート時間には間に合わず、最初に行った組が時間通りスタートパイロンを通過するのを見ながら先を急いだ。多分、15分は遅 れているだろう。遅れたスタートの後、次に目指すところはシャモニーの谷の入り口付近だ。

 練習日に飛んだ所からハイペースのコースどりは頭に入っている。練習した甲斐あって、そこはハイペースでまわった。それでも、いくら頑張ってもトップ集団には追い付かない。どこかでスタックしたら追いつくだろうけど、やつらがスタックするはずがない。とにかくベストだ。

 ようやく、プランプラ(テイクオフ地点)に戻った頃に、トップ集団はもう1つ奥に居てそこからシャモニーの街の上を飛び次のポイントにつけようとしていた。

 「しめた、チャンスだ!」俺は、いつか来るチャンスの為に高度を十分に稼いでいた。今がその「時」だ。奥を周って谷を渡らず、斜めにショートカットした。幸い、沈下が少なくやっとトップ集団を射程距離以内におさめる事が出来た。そして、次のパイロンも良い位置で撮った。

 が、その後、わずかなセンターリング遅れで大きく離され、また大きな差を生んでしまった。そこからのトップ集団の動きにはまいった。俺は、その山脈伝い(モンブランの山脈)に真っ直ぐパイロンを目指し、リターンも山伝いだと思っていた。だから、しっかり上げる必要がある。高度を稼がなければ、先はない。

 先行している機体を見ても沈む一方だ。そして、パイロンを撮った機体が消えた。どこかに降りたのかと思ったら、谷1つ渡った先のリーサイドでとても荒れている場所に居るではないか!しかも、上がっている。

 「また、やられた、、、」何ヶ所か躊躇している間に、次々と抜かされ、順位は下がる一方だった。やっと、先行集団の動きがわかって先に進んだ時にはもう遅い。このあと、ゴールできたのは言うまでもないが、順位は31位でトップから30分も遅れてしまった。

 「なんだ、あそこは行っても良かったのか。」と、チームで集まった時に話しあ った。渋くても行け行けだったのだな。今日は、勉強させてもらいました。

9月6日(水曜日)

 今日も、快晴。雲1つない、、、おまけに、接地逆転層が出来て早朝のシャモニーの街はとても寒い。気温は、5度ぐらいだろう。そして、何故か2000mのテイクオフの方が暖かい。というか、ナマ暖かい感じだ。これは、良くない兆しだよ。天気良くてもサーマルがない状態が予想されます。もう、こうゆう天気の説明は飽きるほどしたナ。

 ミューシーもピーカン晴れでサーマルはショボイ。練習日は良かったが、、、ここも同じやん!愚痴ってもしょ うがないけど。昼過ぎにタスクは発表されたが、ウインドダミー君がサーマルを掴めないのでゲートオープンは延長。そして、また延長、、、待てど暮らせどサーマルはない。2時頃にタスクはキャンセルされた。

 潔い決断だったとおもう。その後に、フリーフライトで飛んだがオーガナイザーの見解は正しかった。30分ほど渋いながらもソアリングを楽しめたが、時間が経てば経つほど渋くなりどっちにしろ、タスクは出来なかっただろう。


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