Chamonix(シャモニー)は、ヨーロッパ最高峰モンブランの麓にある町の名前だ。フランスを観光したことのある人なら必ずと言っていいほどここを訪 れているだろう。俺は、噂では聞いた事あるが実際に来たのは初めてだ。第一印象は、とにかく山が険しくでかい。氷河も迫力がある。町は一大観光地らしく、人がごった返している。
過去にワールドカップを何回か開催し数々の名勝負を見せてくれたこのエリアで2000年ワールドカップ最終戦が日曜日から7日間の日程で行われる。今のところ、トップ5は誰が勝ってもおかしくない現状でその中にスペインで輝かしい功績を残した辻選手が入っている。恐らく、このシャモニーのステージでは緊迫した雰囲気が予想されるだろう。そして、再び歴史に残るバトルが、、、
さて、今日の天気とフライト状況だが、地元フライヤーの「Mr.コルテガ」の話だと「朝の内気温が低く雲底も低いので2時頃に「Plaine Joux」というシャモニーの谷の玄関口にあるエリアで飛んだらどうだ?」との事だったのだが、シャモニーの町で雲底が低いのでのんびりメシでも食べてたら予想よりコンディションが良くなったので予定を変更して町の西側の山にあるテイクオフ 「Planpraz」で飛ぶ事にした。
テイクオフまでのアクセスはゴンドラで上がって徒歩5分。高度2,000m。テイクオフは南西に向いている。話は前後するが、シャモニーの町は東西に山脈があり、東はモンブラン(4808m)やエギュードミディー(3842mの尖った山で山頂までテレキャビンがついていて、さらに山頂から水平ゴンドラが氷河を越えイタリアの方までいっている。)があり、西側の山脈の斜面は南東向きで午前中ゴキゲンなサーマルが発生する。
9月1日までモンブラン側は観光へリが飛ぶので飛ぶ事が出来ないが、大会は3日から始まるので必ず飛ぶ事になるだろう。どちらも迫力のある山だ。午後の、サーマル活動が活発になる頃は谷風がとても強く吹くらしい。夕方はモ ンブラン側を飛ぶ(予定)。
そんなこんなで、テイクオフに着きました。おっとびっくり!目の前にもう一つ上の山頂めがけてテレキャビンのワイヤーがあるじゃないですか!「これって、大丈夫なの?」と、何回かエリアを飛んでいる扇澤氏に聞いたところ「下をくぐってその先の岩盤につけるのだよ。」と。なるほど。日本には無いと言えるぐらいワイヤーから地上までの距離があるりじゅうぶん下を飛んで行けそうだ。
たしかに、さっきタンデムが下をくぐってあっちの方に行った。ちょっと注意するぐらいで問題なし。コンディションは、すごく良い雰囲気で雲底は山頂(2526m)より少し高 い。サーマルポイントは、少し荒っぽくトップアウトするまで忙しかった。山頂をトップアウトし、そこからみんなで山脈を北上した(厳密には、北東方向へ行ったのだが)。
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プランプラから北へ
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俺は、山に慣れたいから山の稜線づたいに進んだ。高度は、2800〜3000mの間でなかなか迫力のある飛びでした。途中、ロッククライミングしている人がいて一所懸命登ってました。それを見て「うわ!あんなとこ登ってる。おっかねーなー。」と思ったけど相手も「げ!こいつ飛んできやがった!あぶねーなー。」と、思ったでしょうね。あんまりひつこくそこにいるとクライマーが集中できず落っこちたらまずいなと思ってさっさと先に行きました。
稜線づたいに行ってテイクオフに帰って来て、そろそろコンディションがそろったかな?と思い、みんなでPassyという町の方の山に行った。シャモニーの谷を抜けると、谷は90度折れて数キロ行くとまた90度折れて、アルファベットのNに似た形をしている(Zかもしれないな。その中間なんだけ ど、、、)。
そのNの最初のかかりの山目指して進んだ。そこは、飛ぶ予定にしていた「Praine Joux(プランジュと読む)」のテイクオフのある山で、ここは岩肌が綺麗な岩盤がある。ここはそれほど緊迫したサーマルはないの だが、何回飛んでも岩の壁は迫力がある。この岩の壁につくとわりとすんなり上昇する事が出来る。
時折、多分近くに巣があるのだろうな、数羽の鳥が「なにごとか!?」と、飛んでくる。
あっという間に、シャモニーの谷の入り口まで来てしまった。ここから谷は北に伸びている。そのまま北上を続ければこの前大会で飛んだ「ミューシー」がある。そこから西に向かうとアラビス山脈があって、2年前ワールドカップで飛んだ「ゴンボノ(Grand-Bornand)」がありさらに奥にはアヌシー湖がある。このへんは、知っているところがいっぱいあるので気持ちは楽だ。
この日のコンディションでは「ミューシー」も「アヌシー」も到底無理なので、北に行けるところまで行って帰ってくる事にした。一緒に飛んでいた扇澤さんと辻さんは車を取りにシャモニーに戻り(もちろん飛んで行ってだが)、川地さんはコンバージェンスラインの調査で残り、いつのまにか俺は独りで飛んでいた。
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これがシャモニー
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モンブランへリターン
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予定通り、行けるところまで行ったので帰ろうと思って時計を見たら4時過ぎている。そろそろコンディションが弱くなりだす頃だ。なんだかんだ寄り路をしながらシャモニーに戻ったのは6時頃だった。約4時間のフライトは大変楽しかったし知らない所をよく観察出来た。 いまから試合が始まるのが楽しみだナ。