PWC 第一戦 メキシコ編 その13の3 (02/01/19)


2002年 Paragliding World Cup 第一戦 メキシコ編 その13の3

1月19日 TASK7  ファイナルグライド

最終パイロンを通過してから、ただひたすら真っ直ぐ飛んだ。
前方に見える機影は、約10数機。全員抜かす事は不可能だが、ベストを尽くした。タパルパの町の南側にある山で低いグループは何回か旋回し上昇気流に乗って高度を稼いでいた。そして、数機つられてまわっている。あと8kmほどでゴールなのにこんな所で時間を無駄に使っている。確実にゴールする為には仕方が無いのだろう。おかげさまで、追いつき追い越しひっこぬきましたよ。
レネは、いつのまにか先行している。高度も充分なので、確実にゴールへ辿り着きそうだ。
あとは、2番手のオレが頑張ればいいのだ。

宿敵ネフはまだ隣にいる。やつも真っ直ぐ行っている。ネフのチームは、先日までの総合はチーム1位。俺達は2位。今日は絶対に負けてはならない。先行している機影は10機ぐらいなので、可能性としてはネフのチームの人が1人入っていてもおかしくないのだ。そして、オレもネフもチームで2人目かもしれない。すなわち、チームポイントになる人間なのだ。だから、負けられない。相手が、スイス人であろうが、メーカーのテストパイロットであろうが、優れた人間と言われていようが、ここではオレが勝たなきゃならない。
勝つ為には、真っ直ぐ飛んでアクセルバーを踏みつづける事。緊張のファイナルグライドだった。

ゴールが見えてきた。広い草原に、白いゴールラインがある。
もうそこに、7日間闘い、飛びつづけたレースの終点があるのだ。
オレは、ゴール直前でネフより少し前に出た。そこで、さらにアクセルバーを踏み込む。
鼻差で勝てばいい。もうまわりは見えていない。ゴールラインだけしか見えていない。

ただ、ネフの気配はすぐ後ろにある。「勝つ」と、強く思えば勝てる。勝つぞー!!

15時37分10秒 ゴールラインを通過した。11人目のゴール者だった。
それに4秒遅れてネフがゴールした。オレは、ネフには勝てた。それだけでも満足だ。
トップは、カスパー(スイス)でタイムは約2分オレより速い。

レースを終えた達成感にひたりながらランディングすると、真っ先にレネが俺のところに来て「やったな!おれたち!!」満面の笑みで、お互い握手をして言葉にならない感情を分かち合った。
今日のチームランキングは、確実に1位か2位。総合で優勝するかは、誰がどこのチームなのかはわからないので知る事ができない。ただ確実なのは、唯一マークしていた、ネフのチームより良いことだ。

まぁ、レースの事は大会本部へ帰ってから考えるとして、さっさと機体をたたんで帰りましょう。

 

 

ザックを背負って歩き始めた頃に、この場所の景色がとてもすばらしい事に気づいた。
広大な草原に、巨大な岩が所々にある。その中に牛が放牧されていて、のんびり草を食べている。
そして、夕方のやさしい陽射しが全てを包み込んで、ここにいるものを祝福しているかのように思えた。

とても幸せな気分で歩いていると、小川があって川幅は1mぐらいでちょっと飛べば越えれらるかなぁー?と対岸に足をつけたら「ズブズブ、、、、」足元はぬかるんでいて、泥だらけになってしまった。最悪である。良い気分にひたっていたのに、オチがつくとは、、、 よく見ると、その辺で走り回っている子供もオレと同じぐらい泥まみれになっていた。まぁ、地上にいればオレってこんなレベルなのかなぁ?
それにしても、すばらしいところにゴールを設けたのだな。ビーチゴールもいいけど、こうゆうのもいいね。

 

日没前に、GPSデーターを大会本部へ提出し、ホテルに帰って結果が出るのを待った。

大会結果と表彰式へ続く。



タスク地図へ


[ホームへ] [インデックスへ]