TAK'98夏のパラ日記 (98/08/20)


 50才を過ぎた頃から、毎年夏になると、炎天下のレッスン、過ぎるビール、レッスンのストレス等で体調をくずすようになった。本日も10数名のこの空を飛びたい病の連中がやって来ているが、朝一番、となり町(春日町)の赤松医院へ。赤松先生はTAKの一期生であり、私の仲人を引き受けてくれた方。体調をくずすたび御世話になってきた。この夏は一大決心をして、大好きだったビールをやめ、TAK農園から毎日、ユカがせっせと運んでくる、とりたての野菜を牛や馬のごとく食べ続け、体に悪いと思うものは、一切口にせず、レッスン後はプールで泳ぎ、まるで競争馬の様な生活をしてきたのに、なぜか、オナカはクマのプーさん。

 今朝は、検査の結果より、前回、TAK農園でとれたスイカを赤松先生にとどけたが、中身がどうだったかの方が心配である。『先生どうでした?』先生も検査の結果よりスイカが気になっていたらしく、『真っ白!』と言う返事に、オレの頭の中も真白スイカ状態。気を取り直して、おそるおそる『で、検査の結果は?』と本題に入る。『ホンマカイヤと思う程、いい数値。』と、にこにこしながら、データを見せてくれる。

 気を良くして、スクール生の待つ岩屋山へ急ぐ。スクールに着くと、早く飛ばせろ!と言わんばかりの顔でみんなが待っている。(柿本君もスイスの新婚パラツアーから帰ってきている。4000m近く上昇して、のべで11時間も飛んだと喜んでいる。無事帰ってきたので、一安心だ)スコープで山頂の風を見る。今日は飛べそうだ。

 山頂に上がる準備をしていると電話が入る。志賀高原のテッペンから正一郎だ。ガスが晴れたらゲートオープンとかで、ヒマそう。携帯電話の相手はアエロタクトの半谷社長とかわる。『正一郎が今回、10位内に入らなかったら、今度は下もそる!』と半谷さん。上下ツルツルの正一郎を想像して大笑いをしてしまった。

 今日はラッキーなことに、天気も風もいいうえに、講習場でのビギナーもいないのでオレも飛べる。一本目は、全員T.Oに上げて、下から指導することにする。T.Oの風が西、南と定まらないと無線交信の中、今年の全日本ハング2位、前回ポイントレース1位と好調の波多野さんがパラでT.O。機体は信じられない事に、六条麦茶1ケースで手に入れたという、ノバのセノンの中古機。弱いサーマルを次々と乗りついで行くコース取りは、さすがであり、10分もしないうち雲底につけて、早々にXCへ出て行ってしまった。

 T.OにいるTAKスクール生へ無線を入れる。『ボケーとおしゃべりをしてないで、波多野さんの飛びを見なさい。』ハングのコース取りで、パラを飛ばして行く飛び方は見てても、とてもおもしろい。

 5〜6人飛ばした頃、ランディング上空の気流が荒れてくる。そんな中、フィーツラ吉田が下降気流につかまった。田んぼと畑の上で超低空飛行。『校長!どうしましょう。』と言わんばかりのパニック状態。とっさにオレは『TAK農園へ!』と無線でどなる。みごと、フィーツラ吉田はTAK農園ランディング1号となったのである。『吉田、ペナルティーは一畝、草むしりやで。』スクール事務所で、この様子を見ていたユカは、『吉田さん、この日の為に作った畑です。そんな事しなくていいですよ。』

 夕方、吉田はこりもせずペナルティーのビールを1ケース買ってきてしまった。『吉田、オレはもう一生ビールは飲まない。もっと節制して弟子どもをフライトでキャイン!と言わすのや。』本日のフライトで、『校長おそれいりました。』とランディング場で土下座をした、ブーメラン井上周三(マグロ)とベルテックス恵一がくやしそうにこの話を聞いていたが、『吉田さんビール、ボクが恵一と飲むから』と井上周三(マグロ) マグロ!おまえはアホか!

 夕方は、さらにいい風となる。フライト本数の少ないフライヤーをどんどん飛ばす。ランディングで無線誘導していたがあまりにも暑いので、そばの農業用水に足を入れて講習をする。足下を見ると、メダカがいっぱい泳いでいる。タオルですくってとった子供の頃を思い出し、うれしくなってまだまだ小さい、幼子の翔大(5才)、隆大(3才)を呼んでやる。

 バケツを持って走ってくる。すでにランディングしていた小学校の五島先生がバケツでメダカをすくって、水を手でクルクル回してやる。すると、小さなメダカ達は並んで泳ぐ。オレはそれってあたりまえだろうと思うが、幼い翔大と隆大はまるで手品の様に見とれている。いつの間にかランディングしてきた大人も一緒にメダカをのぞきこむ。しばらくバケツのメダカで遊んでいた子供達に、『おとうさんと、おかあさんの所へかえそうか?』と五島先生の優しい一声でメダカは又、川の中へ。

 ♪♪メダカの学校は川の中。TAKの学校は空の中。


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