「初飛びレポート」 BY 宮原 大典 (03/06/29)


 5月5日。校長の58歳の誕生日に私は入校した。 それから早2ヶ月。いよいよ初フライトの日がやってきた。私は前日からスクールに泊まり、いつでも飛べるよう心の準備を整えていた。明日はいよいよフライトだ!

◆6月29日 5時20分

 長野教員のドアを開ける音で目覚める。天候は、晴れ時々曇り、北西の風。T.Oはやや強めの風。私はまだ、タンデムをしてもらってなかったので、朝レンで乗せてもらう事になった。入校する前に体験で一度、正一郎さんにタンデムをしてもらったが、その時とは確実に違う。 なんせ、ここから一人で飛ぶのだから。

 西からのT.O。 途中校長から「怖いくないか?」と何度か聞かれたが、コースや地形を覚えるので必死だった。 最後のミーティングで解った事だが、あの時の風の状況は複雑だったようだ。特にランディング近くは。(う〜む、さすがだ。知らないのは私だけであった。へへへ) 空中で記念写真を撮ってもらい、ランディングへ。

 3時にグリーンパークでの練習を終え、スクールで一時待機。 夕方近くになると風も穏やかになり、練習生もようやく飛べるようになり、 次々と降りてくる。 もうすぐ、私もあの高台から同じように飛ぶtと思うと、期待と不安でいっぱいだ。

◆いざ、T.Oへ。

 少し緊張していたようにも思えるが、不思議なほど落ち着いていた感じでもある。 うまく感情を言い表せないが、「ドキドキ」というよりも「ワクワク」の方が近いかな。

 南西から風が入り南からのT.O。 朝に飛んだコースとは違ったが、初めはどちらから飛んでも同じである。 T.Oに残っていた練習生はすべて飛び、私と長野教員、佐野さんだけになった。はやる気持ちを抑えつつ、ラインチェック。このときは、さすがに緊張が高まる。 「はい、深呼吸して〜」と長野教員。やわらかい言葉で、私の緊張の糸を適度にほぐしてくれた。 ・・・ん?まてよ。そういえば今朝はこんなやり取りがあった。

 話はさかのぼり、朝レンでのこと。
校長(長野教員に)「宮原君タンデムまだだそうだけど、どうだろうか?」
長野教員「・・・・・。」
校長「もう一人、ゴマちゃんが乗りたいって言ってるけど。」
長野教員「ん〜。いつでも乗せちゃるよ(^o^)/」
私「・・・・・なっ、なんですとぉ〜。」
校長「仕方がない。私が乗せるか」
 タンデムは女性と兵頭さんしか乗せないという噂さは、本当だったのかぁ? (実はあの時、長野教員は無線がよく聞き取れていなかったらしい。( ̄ー ̄)

 それは、さておき。いざ、テイクオフ! 風を待ち、「よしっ、今だ!」長野教員の掛け声で一気に気合が入る。 1歩、2歩、3歩・・・。浮いてる〜。 数秒後、佐野さんから「ちょっと左に引いて、その後座ろう。」のアドバイス なかなか上手く座れない。汗でお尻が蒸れて、すべりが悪くなってる。 『やはりフライトスーツを買おう』などと考えながら左手でサポートし、ようやく座る。 ハーネスに腰をおろした瞬間、目の前に広々とした景色が広がる。 大空で思わず「イヤッホウ〜」と叫んでしまった。もっと叫んでたかも。

◆空中で・・・

 ランディングポイントがあんなに小さく見える。校長はどこだ?真中にいた。 風は穏やかだったし、高度もそこそこあった。 校長の誘導で、左右360度ターン、場周飛行コースを飛ぶ。途中無線もなく、 ただまっすぐ飛んでいるだけの約2分間。 なんとも言えない贅沢な時間に思えた。 何かと操作しているうちに、ランディングが近づいてくる。

◆ランディング

 緊張のランディング。校長が「もうちょっと右〜」と言っていたが、 体がなかなか言うことを聞かない。引いてるつもりでも、目線はまっすぐ 見ていたので、かなり緊張していたと思う。 ポイントから少し北へずれたが、無事着地! 感無量だった。 二度とこの感情は味わえないので、しっかりと噛み締めた。

 たった10分間のフライトだったが、何事にも替えられない有意義な時間だった。 校長が駆け寄り、「おめでとう!」の一言。皆さんの暖かい拍手。 ビデオを撮っていてくれた、ノンちゃん。遠いフランスでがんばっている正一郎さん。 サポートしてくれた、長野教員、佐野さん。T.Oで励ましてくれたゆかさん。 皆さんに感謝である。 そして、皆さんの初フライトレポート。

 朝のミーティングで、校長の口から「今日初飛びで、新しい仲間がまた増える」 という事がみんなに告げられたとき、実はかなりうれしかった。 ようやく、パラグライダーのスタート地点に立てた気がしたからだ。

 今日は、貴重な人生の記念日の1つだ。 いつもグリーンパークで駆け回り、くたくたになるので、帰宅途中車をとめて仮眠を取るが、 その日は違った。興奮冷め遣らぬ状態。 家に帰るまで、お尻にあの「ふわっ」とした感触だけが残っていた。


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