初飛びレポート by 大西 (00/09/20)


 40年くらい前、小学校に入学した紅顔の美少年だった大西のかっちゃんは、空でトンビがクルリと輪を書くのを見ながら

 「え〜な〜。気持ちよさそうやな。ボクも空を飛んで見たいな〜。」

 と思っていました。

 そして、中学生になったころには

 「大人になったら、パイロットになって空を飛んでやる。」

  と夢見ていたのですが、大きくなるにしたがって空を飛ぶ夢を忘れて、空とはまったく関係の無い仕事をするようになってしまったのでした。

 月日が経って、紅顔の美少年だったかっちゃんも、いつの間にか50歳が近くなり厚顔の中年男となってしまったある日、インターネットでTAKのホームページを見つけ、空を飛びたいという夢を思い出してしまったのです。

 運動不足の腹の出た中年男でも空を飛べることが分かったかっちゃんは、子供のころの夢を実現するためにガンバローと思ったのですが、とかくこの世は儘ならぬもので、まだ雪が残っていたころに初めてTAKを訪れたのに、仕事の都合でなかなか練習が進まないまま、桜が散り、梅雨が終わり、夏も過ぎて稲刈りの季節になってしまい、人が見たらやる気が有るのか無いのか分からないような状態が続き、校長も

 「こいつ、やる気が有るんやろか???」

 と思っているだろうなと気にしながらも、マイペースで気長にやるしかないと居直 っていたある日、校長から機材の購入についての話があり、

  「これで、やっと夢の実現に向けて一歩進んだ。」

 と、内心躍り上がりたいような気持ちで、機材の注文をしたのです。(でも、これでしばらくの間は、カミさんに頭が上がらない日が続きそうなんです。)

 機材を買えば、冬が来る前には、初飛びができるだろうくらいの気持ちでいたのですが、新しい機材を注文すると同時に、校長から

 「次は飛ばせるよ。」 と言われ

 「え〜、まだ機体も見ていないのに本当かよ。」 と嬉しさと不安が交錯し、ドキドキ、ワクワクしながら1週間仕事も手につかないまま9月14日を迎えたのですが、残念ながらその日は風が悪く、グリーンパークで立ち上げの練習だけになってしまったのです。(でも、新しい機体とハーネスを使って練習できたので、少しは不安が減りました。)

 そして、いよいよ初飛びとなった9月20日、朝一番に

 「今日は風もいいから朝から飛ぶよ。」 と言われ、正一郎さんにハーネスの調整や体重移動について教えてもらったあと、岩谷山頂へ。

 それほど緊張していないと思っていたのですが、いざ山頂に立って見ると

 「ほんまに、ここから一発でTAKE OFFできるんかいな???」 と不安が一杯に広がり、中年男としてはめったに感じなくなっていた緊張感が・・・

 正一郎さんが、緊張を和らげるように話しかけてくれるのですが、緊張感は高まるばかりで何も考えることができないまま、正一郎さんのサポートで立ち上げ、指示のままに走りだし気づくと足が宙に浮いているではありませんか。何と無事にTAKE OFFしていたのです。

 ハーネスに収まって下を見ると、はるか足の下に家々が小さく見え、飛んでいる実感、聞こえるのは風の音だけ。

 上を見ると、まっさらのライラックのボレロが日の光に輝いているのが見え、天上天下唯我独尊の気分。

 緊張感も不安もどこかに吹っ飛んでしまい、俺飛んでるやんか、気持ちえーなーと思わず頬が緩んでニタニタしていると、無線から校長の無粋な声が(失礼)聞こえてきて、

 「そーや、一人ではランディングできんのやった。」 と大事な事実を思いだし、校長の指示に従って右に左にターンをしながら

 「うまいこと体重移動できてへん。」 と思っているうちに、ランディングが目の前に迫ってきて、カメラを持った校長を 見て、かっこよく着地して最後だけは決めてやろうとしたのですが、やはり未熟者らしく、意に反して見事に尻もちラン ディングで私の初飛びは無事終了したのでした。

 最高の条件で初飛びをさせてもらい、空を飛ぶ快感を覚えてしまったかっちゃんは、完全にハマッテしまいました。

 最後になりましたが、のんびりマイペースの私に今まで気長に付き合って下さった校長はじめ面倒をかけた皆様には本当に感謝しています。こらからも退職するまでは、今までのようにのんびりマイペースでやっていくしかないのですが、いつかはトンビのように飛べるようになりたいと思っていますので、よろしくお願いします。


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