ジャム勝F1レポート by 田口雅也 (00/08/19)


 8月19日・20日、スキージャム勝山にてF1大会が開催されました。参加人数68名(女子12名)の参加です。

1日目

 山頂テイクオフにてブリーフィングが開かれました。今日のタスクは15km。ゲートオープン11:00、クローズ14:00 フィニッシュラインクローズは15:00。リフライトについては、積極的にフライトしてもらう為に、リフライト後もデパー チャー撮影時刻からタイム計測と特別ルールです。

 さてゲートオープンとなるが、なかなかエア・コンディションが整わない...渋い。 ジャム勝は前回の獅子吼同様、西向きエリアです。日照に期待できるのは午後と思い、12時過ぎ頃をテイクオフの時と決めました。

 予想通りというか、何というか、12時過ぎにコンディションはバンバンになってきました。僕が準備を始めた頃には、列が長くなっていて後の方に並びましたが、フィニッシュが15時なので、2時間でまわるとして13時までにテイクオフすれば、間に合う計算をしていました。それに西向きエリアの為、遅い方がコンディションが良いとも思っていました。

 テイクオフ後、すぐ前の強いリフトにヒット。よしよし!っと順調に高度を稼ぐ。雲底にさっそくつけて、スタートパイロンを撮影後、次のパイロン(TO)へ向かう。TOを撮影、続いて難関の沖のパイロン(電波塔)へ機首を向ける。しかし!ここでリフトが見つからない!?

 ジャム勝のゲレンデ上空をふもとへ向けて直滑降状態...スノボじゃないんだから (-_-;) あたりを見渡してもセンタリングしている機体は一機もない!参考にならない!自分で見つけるしかない!...初めてのエリアはこれが辛いんだ...

 とりあえずセオリー通りにサーマルがありそうな場所を探る。ランディング間際の講習場近くで弱いリフトを発見!!これが最後のチャンスだと思い4周ぐらい回すも、レベルキープがやっとのところでした。前回の獅子吼同様に神様にも祈ってみましたが、祈りは届きませんでした。

 時計をすかさず見る!現在13:20、ゲートクローズは14:00..... 「山頂まで車で何分かかるんだろう?リフライトに間に合うかなぁ..... それともこの渋いリフトが発達するのに賭けるか?う〜ん...う〜ん...う〜 ん... む!悩んでる時間がもったいない!!30分あれば上がれる!..に違いない... 決めた!文明の力!エンジンのついた車で高度をテイクオフまで稼ぐんだぁ!!」

 一気に高度処理してランディング。しかし..機体をたたみながら一瞬考えました。「ミニマムはクリアした。このまま現像に出そうか...」っと悩みましたが....「いやいや、やっぱりゴールしたいよなぁ〜今ならギリギリ、ゲートクローズに間に合うかもしれないじゃないか!急ぐんだ自分!!」

 校長がいつも言っている言葉を思い出しました。『チャンスは平等』 「そうだ!ゲートクローズまでフライトするチャンスはみんなに平等にあるんだ。そしてフライトしない限り、ゴールするチャンスはゼロなんだ。目の前のチャンスを棒に振ってはダメだ!ゴールすることに挑戦する為にここに来たんだ。

 リフライトしてそのチャンスに賭けてみよう!それでぶっ飛んでもその時はその時! ここでじっとしていてもゴール出来ない。テイクオフに上がらないと!チャンスは平等にあって、無駄にするかしないかは自分自身だ。チャンスにはチャレ ンジだ!!」韻も踏んでいてなかなか良いではないか...な〜んて納得しているば場合ではない !

 時は一刻を争う!ゲートクローズに間に合うのか!?機体もちゃんとたたまないままザックに詰め込み、乗り合い場所までザックを背負って猛ダッシュ!!この時ほど自分の装備が重いと思った事はありませんでした。幸い5名ほど集まっており、すぐに超特急であがることが出来ました。(ちなみにこれが最終便でした)

 長い...上りの車の時間が長い...はやく山頂にぃ〜ついてくれぇ〜 そんな中「ぶっ飛んだらやっぱ最悪だなぁ〜」とも考えていました...テイクオフについてみれば13:55!!大急ぎで機体をザックから取り出し、ハネースを背負う。グライダーはぐちゃぐちゃのままテイクオフへ急ぐ。

 「えぇ〜い、テイクオフでラインチェックだぁ〜僕が選手で最後みたいだし、テイクオフにさえ立てば....怒られるかなぁ...」っと、クロスカントリー改めFRY AIRの佐藤てっちゃんのすばらしいラインさばきで、 ぐちゃぐちゃのラインもすぐに奇麗になり、なんとか出させていただきまし た....。

 F1スタッフの方々、本当にありがとうございましたぁ〜感謝感謝m(_ _)m

 そして、僕のテイクオフを最後にゲートクローズが無線で流れました。さて、リフライトしたからにはもちろん狙うはゴール!! 現在14:00、フィニッシュラインクローズは15:00。あと1時間...。

 「参考にならないかもしれないけど、獅子吼では薬師寺選手が16kmタスクを45分で回ってる。今日のタスクは14kmだ。やってる人がいるんだ不可能じゃない!!何としてもゴールしたい!!周れる!いや、周るんだ!!でも、僕に出来るかなぁ...とにかく出来る限りがんばろう!!」 っと決意を新たに、今までのフライト経験をすべてつぎ込んだ全力フライトに突入!

 まずは、雲底。スタートパイロン撮影前に出来る限り高度を稼ぐ。スタートパイロン撮影14:14。雲の流れ、フライトコース、他機の動き、そしてアクセルワーク。集中力を高めて飛んだ...時計をみて時間に追われながら....気合が通じたのかコンディションにも恵まれ、ハイペースでパイロンをクリアしていく。

 最終パイロンである2度目の電波塔に向かう為、僕はTOで雲底につけた。そのまま最良滑空にアクセルをコマメに調節しながらパイロンを目指すが、途中、目の前に雲が立ちはだかる...沖から発生したサーマル雲で、自分より雲底が低い...それはまるで壁のように前に立ちはだかった。

 「雲中飛行はもちろん危険行為。失格だ。」耳折りフルアクセルで飛ぶも駄目だ...このままでは雲に刺さる。 一緒に電波塔を目指していると思われるゼッケンなしのフリーフライトの機体は迷わず突っ込んでいく... 「確かに、突っ切れる雲だよなぁ...ええなぁフリーは...」僕も一瞬バレないかな?突っ込もうかなぁ...などと考えましたが、 「いやいやゴールすることが目的。この高度なら雲中を飛ばずともゴールできる。不正を行ってまでゴールして、それに意味があるのか?僕はフライヤーだ。」

 雲の前で軽くスパイラルを2・3周。雲底より高度を下げる。 その後、雲の下をフルアクセルで軽く上昇しながら通過した。正直な自分が悲しい...と、ちょっと損した気分ではありましたね^^;

 っまそんなこんなで無事に最終パイロンを撮り、後はゴールラインのみ!!フルアクセル・オン!高度がいくら落ちようがフルアクセルはゆるめない!ゴールライン撮影14:47分。回り切った!!ナイス俺! タイムは何と33分!はえぇ〜14kmを30分!?間に合わないかもしれないと思い、めいっぱいあおった結果だ。

 自分でもびっくりだ!追いつめられた人は恐いと思いました。 ひょっとして優○!?とか期待しちゃったりしましたが残念。上には上がいるものです。1位は何と27分!参りました。(機体はギャンビットだけどね...) ちなみに2位は32分と1分差。(機体は同じくバギーラでした)これはちょっとおしかったですね。そんな訳で、11名がゴールしたなか3位となりました。しかし、2位と1分差とは...

 全然悔しくない言うとウソですけど、めちゃくちゃ悔しい訳ではありません。なぜなら全力を出して飛ぶことが出来たし、今の僕には精一杯のタイムでした。今回のフライトで今の僕にミスはないし、本当に全力以上を発揮できたのではないで しょうか。ゴールするという目標が達成できたらから満足してるし、しかもそれが偶然3位だったので大満足です。

 そう言えば、例の雲中飛行をしていたら2位になったかもしれないとも考えたけど、それは自分がフライヤーとして飛んだ結果なのだからと納得しました。そして勝った彼らはレーサーなんだと...僕はエアバック・ハーネスだしね。カッコから入ってないしぃ〜でもやっぱり1番とれなかったのは、ちょっと悔しいですけどね。

 「1位との6分差は無理だけど、2位との1分差は、雲中なんて切らなくても、サーマルでコンっと上げれば1分ぐらいすぐだ。腕でなんとかなるだろう。まだまだ練習だ。」 っと決意を新たにしました。そうそう、なんかこう書いてると上位の人が雲中飛行したみたいだけど、僕は見てないし、けっしてそんな訳ではないらしい(?)ので誤解しないで下さい ね。

2日目

 強風の為、大会キャンセル。 この時点で総合3位が確定しました。

 そしてゆみちゃんは何と女子2位(総合13位)が確定!1日目のゆみちゃんのフライトは、僕より十数分程早くテイクオフし、バリバリ・コンディションの中、自分の目標にしていたミニマムタスクをクリアした時点でコンディションが渋って、ランディングしてしまいました。ちなみにこれは僕が1本目で見切りをつけて、ランディングしたすぐ後の事でした。


総評

 獅子吼・ジャム勝とF1に出ていっぱい勉強になりました。僕はゴールすることが目的のフライヤーであることがわかりました。人相手ではなく、自分相手に大会に出場していると思いました。成績的には、これからもいい順位はもちろん取りたいけど、どんな順位になってもそれが納得できるように、今の自分に出来る限りの全力フライトしたいと思いました。

 最後に只野直孝師範を始め、只野正一郎師匠、教員、助教員の方々ありがとうございます。 おかげで、すばらしいフライトをすることが出来ました。これからもグットパイロットとしてがんばっていきたいと思います。そして、リフライトし、ゴールする事が出来たのも、松原校長、佐藤哲也さん、スタッフの方々のおかげです。

 ジャム勝F1のスタッフの方々、すばらしい大会をありがとうございました!!


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