「長編:ニュージーランド 遠征報告」記録:高橋洋介 (00/01/23-30)


 そろそろ、春の気配がしてきましたが、この冬、飛ぶ快感の禁断症状のため、あるいは今年のレースシーズンに向けてのトレーニングのため、寒さに凍えて、耐えに耐えてフライトしていた日本の皆さーん。 行ってきました南半球ニュージーランド!
南半球って今は夏なんです。知ってました?
真っ青な空!雄大な風景!あー楽しかったなあー!

 さーて、これから詳しく報告しようと思いますが、うらやましい人はこれ以上読まない方が体のためですよ。それに、あったこと全部書いてしまったので、小学生の夏休み日記みたいになってしまいました。読んで疲れてしまったら、すみません。 と先に言っておきます。

日程

2000年 1月23日(日)〜1月30日(日):8日間

メンバー

準備段階

 そもそもこの遠征、これで3回目になります。1995年1月、TAKパラグライディングスクールの練習生だったオジサン達が連るんでオーストラリアのタスマニア島にブッシュウォーキングに行ったのが始まりです。当時は、『フライト抜きで大自然を満喫しよう』がテーマだったんですが、あまりに過酷な荒野の行軍をしてしまったため、一部メンバーから『人生の思い出としてはエエけど、2度としたない!特に、好きな時にビールが飲めんのがアカン!!』と強硬な意見が出てしまい、やむなく2回目からは、軟派なパラ持参のツアーとなってしまいました。企画担当者としては、方向性として、ヒマラヤトレッキングなんかに向かわせたかったのですが、残念です。

 2回目は、チームのイメージリーダーの足立 博文さんが、過去に単独で遊んできて、大変良かったと言うので、行き先はニュージーランドになりました。但しこの時は、チームの大部分のメンバーが都合を付けられず、3人だけのツアーとなりました。

 そして3回目、企画段階では、また違った地域と言うことで、冬でも暖かいアメリカ西海岸メキシコ国境付近が目的地でした。ところが、言い出しっぺの足立さんが墜落、重傷、世間の信用失墜となって、ほとぼりが冷めるまで休暇もとれず、3回目は不参加となってしまいました。このため、大半のメンバーがNZを未経験なことと、経験者のウンバットが、無謀にも『もう一遍行ってもエエデ。その代わりオレがリーダーになる。』と言うので、渡りに船と、リーダーをウンバット、目的地をNZに変更したのです。

 自ら買って出たリーダーの座とは言え、この時点から、帰国するまで続くウンバットの苦労が始まります。でも、ウンバットの苦労性にはあきれました。はた目に見ても、センでもイイ心配をするんです。例えばNZに着いた次の日の朝食はどうするかなんてことを2ヶ月も前から悩んでるんです。今回のメンバーを見て下さい。こんな連中相手に予定なんか決めても、好き勝手言って無視、変更させられるだけです。(まじめな運転手を除いて)ツアーリーダーの心得は『行き帰りの切符だけ手配して、あとは成り行きにまかせる。』です。次回のリーダーは参考にして下さい。

 日程にしても、『前回は天気が良かったけど、今回はどうやろか?1月中旬、下旬、2月の何時が一番エエやろ?』と迷いに迷って、NZに詳しいロールアウトの加藤校長にまで相談に行く始末です。遠い外国がいつ晴れるかなんて、聞かれる加藤さんも、困ったと思います。『雨が降っても、だれもウンバットが悪いなど言ワン』と言ってやるのですが『いや、いざ雨となったら必ずリーダーの責任を追及する連中ヤ。しかも帰ってからも最低2年間は、飲む度にイジメられるに違いない。オレ酒飲めんのに。』と言って心配をやめようとしないのです。これら、たくさんの、小さな悩みを一つ一ついちいち『アホか!』の一言でコキおろすのが、天敵のひろしさんです。世話してもらってようエラそうにするなと感心しますが、これが帰国するまで続くのです。ホントにご苦労さんでした。そうこうして、清水の舞台から飛び降りる気分でやっと決まったのが、1月下旬でした。

いよいよ出発です

1日目

直接関空へ行くひろしさん以外は、AM11:30神戸KCAT集合。
タイガー、ウンバット、まじめな運転手は連るんで集合。
ほどなく、カーペンター現れる。
ムム!あの立ち姿は!
黒の革ハーフコート、スポーツ刈り、真っ黒のサングラス、怪しげなバッグ!
どこから見ても、香港マフィア。パラバッグが異質です。
以後、香港と改名します。
そろそろ全員集合かな。
しかし、集合時間になってもタコのおっちゃんが現れません。
ドナイしたんや?またビール飲み過ぎて寝過ごしたんチャウか?
心配していると、ロビーになんかパラバッグみたいのが放置してあるのを、香港が発見。
全員散開して捜索開始です。
まもなくウンバットが見つけてきました『2Fで食事しとるワ』
『だれも見えんかったし、腹へったから飯食うとってん』
ああー、先が思いやられる!
幸い、予定どおり関空に全員集合できました。

 リーダーが迷いに迷って選んだ航空会社は、大韓航空です。まずは、ソウルへ向かって約2時間のフライトです。離陸後間もなく、機内食が出ます。食後、まじめな方の運転手は違和感を覚えます。なんか、胃の底にふたしたみたい。

 ソウル着。1時間のトランジットの後いよいよNZに向けての12時間フライトの搭乗開始です。ああーウンザリするやろなア。と、なぜか香港とひろしさんが2階席に向かうではありませんか!『オイそっちはファーストクラスやで!』でも搭乗券のNoは、間違いありません。オーバーブッキングであぶれたこの二人にファーストクラスが当たってっしまったのです。なんて幸運な奴らじゃ!こっちは料金どおりのエコノミー!チェッ!と思ったのですが、これがこの後大変助かることになるのです。感謝!でも香港は、最高齢のタコのおっちゃんに席をゆずるやさしさを発揮。エライ!

 離陸後間もなく、またもや機内食が出ます。ちょっと、間隔短かすぎるんとチャウ?周りは、ビビンバの香りで充満。この時点で、まじめな方の運転手はまったく食欲がなくなっていました。コレ、初めてなんですが、どうも飛行機酔いにナッチャッタみたい。これからが最悪でした。キタナイ話で申し訳ありませんが、その日のものは全て返上、食後とあってトイレは満杯、衛生袋をかかえたまま狭いシートで悶々、もう死にそう。ここで、なんとタコのおっちゃんが、ファーストクラスの席に来い、変わったる。と言ってくれたのです。あまりのシンドさに天の助けとばかりお言葉に甘えて、一目散に2階席へ向かいました。

 ファーストクラスに乗ったことある人、手をあげてください。もうコレ天国です。広いシート、隣の人と肘掛けの取り合いなんかする必要なし。中途はんぱなリクライニングで、尻の痛さでしょっちゅう姿勢を変える必要なし。脚を投げ出して、ベッドに寝ている気分です。4時間ほどしてすっかり気分がよくなったら、なんか場違いなところにいる気がしてきてしまい、タコのおっちゃんに席を返すことにしました。エコノミーに戻るとタコが見当たりません。良く見ると、座席足元の床に寝ているではありませんか。贅沢が身についてしまったタコ。エコノミーはやっぱりダメなんです。しんどい思いさせてゴメンなさい。

2日目

 まだ飛行機の中です。途中NZ北島のオークランドでトランジット。続く2時間のフライトで、ようやく南島のクライストチャーチに到着です。ここで、入国手続き。税関通過、巨大なパラバッグを担いだ一行はよほど怪しく見えたのでしょう。全員、荷物を明けさせられてしまいました。でもこれで終わりではありません。まだ国内線に乗り換えて最終目的地のクイーズタウンに向かうことになります。国内線手続きのため、空港内を移動します。ウンバットが以前来たからと先導するのですが、なぜか空港建物から外に出て、1kmほど先の青い建物が国内線だと言いながらどんどん先へ進みます。

 乗り換え客に重い荷物引きずらさせて1kmも歩かせる空港が本当にあるの?あんまりおかしいので、半分ほど行ったところで、近くにいたタクシードライバーに聞きました。『国内線はどこ?』運ちゃん『キョトン?ア?あそこ。』指差す先は、国際線と同じ棟の、100mも離れていない一角でした。あー疲れる!

 アンセットNZ航空でフライトは約50分。まじめな方の運転手は、栄養失調でフラフラですが最後のフライトだと勇気をふり絞って搭乗。離陸。これで最後なんだ。とホッとしたのですが、すぐに雲の中。『いやに雲底低いな。500mくらいしか無いな。』となんかいやな予感。機内は、NZか、オーストラリアの敬老会でいっぱい。すごく盛り上がっています。白人の年寄りはメッチャ元気やな。間もなく、降下開始クイーズタウンも真近のようです。でも、いつまでたっても雲の中、時々雲の隙間から地面が見えるけれども異常に低空、周りはきり立った山。後でわかったのですが。クイーズタウンは氷河に侵食されたU字渓の底の町、空港も当然谷底にあります。飛行機は曲がりくねった谷にそって旋回しながら着陸するのです。

 大丈夫かいなと思っていると、飛行機はフラップをたたんで脚も引き上げ、上昇開始。機長のアナウンス『なんにも見えないので着陸やめ。クライストチャーチに引き返す。』もうガックリ!ここでひろしさん『根性なし!ガーッと降りんかい!オレやったら降りたる!』機長がひろしでなくて良かった。抗議する元気なし。しばらくすると、スッチー(すごい体格、ぶつかったらこっちが壊れそう)がなにか説明し出しました。よくわからないけれど、『クライストチャーチに戻ったら、クイーズタウン行きのバスを出します。所要時間は6時間。いやな人は、明日の飛行機で行って下さい。但し、クイーズタウンの滞在費は自己負担です。』と言っているようです。

 この上さらに、バスツアーはないで!断固、我々は予定外のクライストチャーチ泊と決めました。でも敬老会はバスに乗ったみたいです。元気や!クライストチャーチでは、市の中心、大聖堂の向かいのホテルをとりました。思わぬ、クライストチャーチ泊。きれいな街ですが、中心部なのに人影まばら。曇りとはいえ、気温も夏とは思えない涼しさ(というか寒さ)長袖トレーナーではうすら寒く、ポケットに手を突っ込んで、背中を丸めて歩いてしまいます。国際空港がある街なのに、なんてさびしい雰囲気何だろうと思いました。なにより、いくら探しても酒屋が見当たらない。考えてみると、日本とほぼ同等の国土にたった400万の人口です。都市といっても、人影が少なくて当たり前なんですね。しかたないので、ホテルのパブで夕食をとりました。

3日目

 朝、AM8:30クイーズタウン行きの飛行機に乗ることになっています。ホテルを7:30出発。それまでに食事、チェックアウトを済ませておくこと。と決めておいたのですが、例によって欠落者発生。前夜疲れていたので、メンバーの部屋番号を確認し忘れていました。名前をたよりにフロントからTEL。『ハーローオ』タコのおっちゃん明らかに寝ていた様子。時間はどんどんなくなって行きます。あせる幹事。でも結果、飛行機には間に合いました。めでたし、めでたし。

 今度はクイーズタウン着陸成功。タクシーで市内まで出てレンタカーを調達。ウンバット曰く、空港の大手レンタカーは、高いので市中で借りるほうが得なんだそうです。いよいよ、車で目的地の安田KOさんがオーナーしているフライトパークにむかいます。市内を含めて、信号いっさいなし、交差点はロータリーで右側優先、みんなマナーが良く、スムーズに流れます。日本も、車の少ない田舎は、ロータリーがいいなと思います。街を出ると、いきなり制限速度100km/h。そんなに広くもない、しかも山すそに沿って走るので、カーブの多い道です。けっこう飛ばしているつもりでも、100にはとどきません。場所によっては、レンタカーのハイエースでは、そのまま突っ込んだらコケそうなところもあります。要するに、個人の責任の範囲で走れと言うことの様です。羊や牛を放牧している牧場を眺めながら、30分ほど走って、馬の牧場の角にウインドソックスが風になびいているのがフライトパーク入り口の目印。舗装道路をはずれてガタガタ道を砂ぼこりを立てて、300mほど走ると広大な芝生広場のLDに出ます。ここがフライトパークです

フライトパーク

 到着すると、1月初めからNZに来ていた加藤校長が迎えてくれました。こんな遠くまでやって来て、岩屋の住人に会うと、地球が大きいのか狭いのかわからなくなります。まー、突然、いつでもノリノリのTAK校長に『ファイヤー!ファイヤー!』なんて出迎えられて日常に引き戻されるよりはマシですが・・・。

 しばらくすると、安田さんが帰ってきました。昨夜はPM8時頃まで我々の到着を待っていてくれたそうです。飛行機が引き返してしまったことを、連絡できなかったのは、フライトパークのTelNoを持ってこなかったリーダーの減点。本日は、フライトパーク泊の予定なので、宿舎に荷物を運び込みます。2段ベッドが2つにシングルソファーが一つの小じんまりした部屋が4部屋ほどあります。女性も宿泊しているので詳しくは見ていません。シャワー、トイレ(もちろん水洗)がそれぞれ3つあって共同使用。事務所と大きなリビングルームは、北側のLD側にあります。北側といっても、南半球なので、日当たりの良い方に位置しています。この設備で、1泊20NZドル。日本¥1100相当です。

 片付けも終わって、昼食をとりに、近くのアロータウンへ出かけました。アロータウンは観光客相手の街で、高級ではないけれど雰囲気のいいレストランや、質素なホテル、スーパーマーケット、土産物屋が並んだ街です。まるで、ウェスタン映画にでてくるような雰囲気の小さな街です。通りからちょっと奥まったレストランに入って、とにかく肉、せっかくのNZなんだから、マトンのステーキを食おうとなりましたが、メニューをみても良くわかりません。身振り手振りでなんとか説明したつもりだったのですが、出て来たのは、牛ステーキをはさんだ(でもゴッツイ)サンドウィッチでした。飢えははしないが、思ったものが出てこない。英会話をものにしないと、真に楽しい海外生活はできません。でも、帰国する頃には、ほぼねらいどおりの食べ物がテーブルに出て来るようにはなったことを報告しておきます。

 食事からパークに帰ってくると、時刻はPM3時頃、LDから北西に見えるコロネットピーク頂上は、雲にかくれています。空全体にも雲が張り詰めていますが、風は良いとのことなので、早速コロネットピーク中腹の海抜1000mのTOに登りました。初めて見るTOからの風景は、雄大の一言でしか表現できません。目の前を氷河で出来たU時渓が横切っています。向かいに見える岩山は山頂が雲に隠れていて、手前の雲からは雨が落ちています。景色が大きすぎて、どれほど離れているのか、距離感がつかめません。平らな谷底には一面の緑(ほとんどが、牧場)が広がり、その中に小高い丘や、小さな林がちりばめられています。LDは左方向ですが、山腹に隠れて見えません、でも高度は充分なので、一斉にTO!フライト中は、自分のことで精いっぱいで他人が何していたか覚えていませんが、最後にTOしたフライト監督が、早速雲底につけているのは確認できました。

 小生は、慣れない空なので、まずはLDを確認するため山腹にそって東へ流しました。TOとLDの中間に切り立った大きな岩山があります。うしろは深い谷、人が立ち入った気配が見えません。近づくと明らかにリッジ効果でリフトがありますが、ここでなんかあったら、メチャ痛そう、と怖さが先にたってしまい、1本目は遠巻きにして通過。その先にある杉の植林地帯の斜面にとりつきます。ふもとにLDが見えますが、地上で感じたほど大きく見えません。斜面風のため、なかなか高度が落ちず、ゆっくりLDに向かいます。近づくにしたがって、LDはどんどん大きくなりますが、高度感がつかめません。LD上空は、芝生広場から上がってくるサーマルのため、思ったように高度処理ができません。低空でサーマルにあおられ、慌ててフレアーを効かせすぎて、失速、ケガした人がいるそうです。なんせ、的は大きいのだから、のんびり降りようと自分に言い聞かせ、やっとのことでLDして見ると、事務所からえらく離れたところでした。結果は、約30分のフライト。あんまり広いので、どこで機体をたたんでも問題ないのではと考えはしました。でも、広い空の真ん中で、わざわざぶつかりに来る人もあるぐらいだからと思い直し、ヨイショヨイショと事務所傍まで機体を運んでから後片付け。この日は結局合計3本のフライト。

 3本目は、大分慣れて、尾根上を飛んで、リッジを有効利用できるようになり、トップアウト。LD上空を通りすぎて、約5KM先の尾根の西端、アロータウンの上空800mまで達することができました。ここから先は、航空路で、進入禁止。地元のフライヤーは、無線で管制塔に許可を得て、向かい側のクラウンテラスに渡るそうですが、そんな芸当できない我々は、ここでUターンします。さっきまで、リッジと思っていたのがいつの間にか雲の吸い上げになっていてどこに行っても、バリオが鳴りっぱなし。寒さで、手がかじかんできました。コリャ冬装備でちょうどイイぐらい。なんとなく、うす暗くなってきたこともあり、耳折りしてLD。降りてみたら、PM9時頃でした。NZはサマータイムで1時間時計を早めてはいますが、南緯度が高いため、夏の日照時間が日本に比べて随分と長いのです。

 初日から、長時間フライトできたご機嫌な我々は、その晩、オーナーの安田さんや加藤校長とクイーズタウンへ繰り出して、大いに飲んだのでありました。ここフライトパークには我々以外にも、地元NZ、オランダ、日本から練習にきている人たちが泊まっていました。その中に、大道芸人のパラ練習生がいました。食事から帰ってみると、リビングルームで彼が芸の披露中でした。特技は、はしごです。(脚立でなく、普通のはしご)こいつに、竹馬のように乗ってそこいらを歩きまわったり、はては、そのままてっぺんまで登って、両手を離してグラスの酒を飲んだりします。我々もかつては竹馬で遊んだことがあるので、簡単だと思って挑戦しましたが、やはり要領が違うのでしょう、まったく乗れません。ひろしさんは、彼の名前も聞かず、いきなり『ラダーマン』と命名してしまいました。風待ちの時間つぶしに、はしご乗り、はいかがでしょうか?場所はとりますが(失敗した時そこら中の物を破壊するので)経済的で結構スリリングです。実は、このラダーマンが、翌日事件を起こすのですが、それは、この後のお楽しみです。

4日目

 目覚めると、昨日とうって変わって晴れでした。宿舎から、LDの芝生に出ると、体感は涼しく、さわやかな感じなのですが、日射が非常に強く、周りの山々を眺めるにも、サングラスなしでは目が射られるような感じがします。空気が澄んでいるせいか、南極に近いせいかわかりませんが、紫外線が非常に強いのです。朝食をとりにアロータウンへ出かけた際、早速サンクリームを購入しました。昨夜パークに泊まった連中のうち、普通のサラリーマングループは、パークの生活で充分と思っているのですが、タコのおっちゃん、香港、ひろしさん達はこの、学生のクラブ合宿のような生活が気に入らないようです。そこで、アロータウンでホテルをと、2軒ほど当たってみたのですが1軒は、満室、もう1軒はパーク並みの施設でNG。あんまり、ホテル探しに時間を費やしていると遊ぶ時間がなくなってしまうので、次の日はクイーズタウンで、必ず豪華ホテルをとるからと説得して、もういっぺんパークに泊まることにしました。

 この日もコロネットピークからフライトです。朝の1本。昼をはさんで午後の2本と計3本のフライトでした。晴れあがったコロネットピークは昨日の、雲で頭上をフタされたような風景とはまた違って、緑が輝いて見えます。フライト時間は、けっこう稼げたのですが、小生はサーマルをつかみきれずせっかく雲がかかっていないコロネットピークの頂上をトップアウトすることができません。他の連中は全員、山の裏側を見てきたそうです。この山の裏斜面は、去年のツアーの時、行ってはいけないと言われているのに、尾根先より後ろに入って墜落して、生きて帰った足立博文さんゆかりの場所なのです。(詳しくは、1999年レポート参照されたし)一度そこを見たかった小生、非常に残念。ここを見るためだけでも、来年また来てもいいと思っています。

 その、最後の3本目のTO準備をしている時、練習生達が上がってきました。この中にラダーマンがいました。まだ、初めて間も無いのか、ラダーマンはしごはうまいが、TOは目茶苦茶ヘタ。立ち上げても立ち上げても、左右の薮へ転げてゆきます。NZでは、こんなレベルでも山飛びさせてしまうのです。しかも、LDからの無線誘導も無いようです。LDが広大なのと、一面整備された芝生なので、フォローで降りても危なくないからでしょうか?5〜6回失敗して、練習生も後2人となった時、ようやくTO。今度は傾きもなく、きれいなTOでした。やっと出たな、と他人事ながらホッとして、自分たちの準備に取りかかります。しばらくして、頭上から『落ちとる!落ちとる!落ちとる!落ちとる!』と大声が降ってきました。20mほど上空を、ウンバットが旋回しながら、叫んでいるのです。もしや、と思ってTO先端に走ってゆくと200m前方、高度50m下の斜面のコブの上にさっきTOしたはずのラダーマンの機体が見えます。

 インストラクターに知らせると、無線で呼びかけます。幸い、応答があり怪我は大したことはないようでした。しかし痛いことに違いなく、草の上に寝転がってこらえていたようです。第1発見者のウンバットはそんな事情もわからないので、心配してずっと上空を離れません。そこで小生は無線で、今落ちた練習生は無事だから心配するなと連絡を入れました。実は、日本で我々が使っている430MHZバンドの無線は、NZで使うのは違反で、見つかると没収されてしまうそうです。それに、なぜか感度も悪く、使っていると時々ガーガー雑音も入ります。我々は出来るだけ無線は使わないようにしていたのですが、この通報を、フライト監督が我々メンバーの誰かが落ちたと聞き違え、急いで降下してきます。これに、対してウンバットや小生が慌てて同時発報で説明してしまったのでいよいよ混乱。それでも、監督が緊急ランディングしてしまう前に事情を理解してもらえたのですが、最後に『変な無線いれるな!』とラダーマンのせいで、怒られてしまいました。無線は、簡潔明瞭に、しゃべる前になにを話すか、受け手がそれをどうとるか、考えてから使いましょう。

 ところで、ここコロネットピークは、航空路に近いため、飛行制限区域が定められています。山は東西にほぼまっすぐにのびていますが、西はコロネットピークふもとまで、東はアロータウンまでです。高さは頂上より200m以下、前へは、谷底を走る道路上空までと定められています。前方の牧場主のなかには、アウトLDすると鉄砲を持って追いかけてくる人がいるそうです。どこの世界にもコワおやじは居るんですね。後ろは、特に定められていないようですが、降りたら帰ってくるのが極めて困難なので、尾根筋までです。このように書いてしまうと、狭っ苦しい感じになってしまいますが、山は高く、谷は広く、尾根は長いので、空間の体積は非常に大きく、端から端まで往復すればちょっとしたクロカン気分になれます。このエリアの特徴は、高度が充分にあり、比較的シンプルな地形に、安定した風が入ってくるので、TOからLDまでの間にいろいろな工夫するチャンスが与えられることだと思います。リッジ、または斜面のサーマルがとれない時は、思い切って前にでてグランドサーマルをつかまえ、高度を稼いでから、再び斜面に取り付く。こんな飛びが余裕をもってできるのです。

5日目

 本日も晴れ。今日は、前夜から安田さんに、ボブズヒルに案内してもらうことになっていました。ここは、クイーズタウンの観光の目玉の一つで、Wakatipu湖畔の美しい街並みを見下ろすことのできる山です。中腹まで、ゴンドラで上がります。ゴンドラを降りたところにパラのタンデム屋さん専用のTOがあります。料金はいくらか調べませんでしたが、観光客を乗せて、次々とTOしてゆきます。初めて、グライダーでこの空を飛んだ人は、ここの、人工と自然が美しく調和した風景と、風の音を聞きながら飛んだ感動を、けっして忘れないだろうなと思います。ちなみに、ここのタンデム屋さんの権利は¥300万で買えます。。パイロットは、NZだけでなくヨーロッパからも出稼ぎにきているそうです。最近タンデム証を取ろうとしている香港は、すごく買いたそうでした。

 安田さんとは、 AM8:30にここで落合い、さらに徒歩で約20分かかるもう少し高度のあるTOに向かいます。プロとアマのT0を分けているのは、観光客がいっぱい見ているところで我々アマが、スタ沈、山沈してしまっては、営業妨害になるからかな?とも考えられます。我々がくる、1週間程前にも日本人グループがここへ来て、風が悪いのでフライト禁止になっている時に飛んでしまい、タンデム屋さんの通報で飛行許可を取り消されてしまったそうです。慣れない海外で、おそらく分らずやってしまった事と思いますが、せっかく遠くまで来たのに、不注意で飛べずに帰るとは、実にもったいない話です。グライダーで空を飛ぶことは、基本的には、危険なことをしているのだと言う認識を決して忘れず、周りの状況を常にセンシングする心がけが大切だと思います。

ボブズヒル

 そんなことを考えながら、機体を担いで山道をのぼります。これが結構キツイ。小生は休みなしでは上りきれませんでした。最も悲惨なのが、ウンバットです。なにせ、約20KGのパラの他に、10kgのバラストまで担ぎながらのぼるのですから。これが嫌で、日本を発つ前から『ボブズヒルは、一遍飛んだら充分ヤ。オレは下で見てる。』としきりとアピールしていたのですが、いざ全員が飛ぶとなると、一人残ってもしゃーないとあきらめたのでしょう、フウフウ言いながら登って行きます。『風も穏やかだし、バラストなんか無くてもエエやんか。』と言っても頑張ります。でも、このこだわりがあるから、フライト監督に次ぐくらいうまくなったのかとも思います。TO高度は、約300m。あんまり、いろいろ考えすぎたせいか、登山疲れのせいか、TOは最悪でした。右へ右へとられて、薮にスタ沈かと思いましたが、広いTOに助けられて無事空の中。ホッとして街の方へ流すと、タンデム用TOの上に出ました。ここでリフトを感じたので2回ほど回したのですが、タンデム屋さんの邪魔になりそうなので、ぶっ飛びに切り替え、街の上空を通って、まっすぐ湖の上に向かいました。湖の上で180度旋回して、街へ戻ります。険しい岩山に囲まれた真っ青な湖、白を基調にした碁盤目模様の街が美しい。LDは街の中央に並んだ、小学校のグラウンドか、ラグビー場の芝生広場です。フライトタイムは10分程度でした。

 着陸後は、昨日からの約束の、豪華ホテル捜しです。オジさん3人の要望は、バス付き(シャワーはだめ)個別寝室です。街の観光センターに行って、つたない英語で交渉しますが、なかなか見つかりません。一時NZ$200レベル(¥1.1万以上)までゆきましたが幸い空室なし。そのうちセンターの女性もこちらの要求が理解できたのか、『こんなのどう?』とモーテルを紹介してくれました。場所は、さっきLDしたラグビー場の隣、3つのベッドルーム、バスルーム、シャワールーム、キッチン(食器完備)、リビングルームまで付いて1軒で1泊NZ$125(約¥7千)です。早速、現地に行ってみました。行って見るとこれがすばらしい、リビングからテラスに出ると、正面がボブズヒル。タンデム屋さんがフライトしています。2階にベッドルーム、バスルームがあってリビングは吹き抜け。これなら文句あるまいとオジさん3人分をその場で契約。大いに気に入ってくれた、ひろしさんは、『今夜はここで晩餐会だ』と宣言。近所のスーパーマーケットに食料の買い出しに出かけました。シェフのひろしさんが、下ごしらえを終え、冷蔵庫に食料をほうり込んだ後、ようやく午後のフライトに向かって出発です。

 フライトパークに帰ってみると、コロネットピークは後ろ側から雲が流れていて、TOもフォローになっています。コリャいかんなと思っていると。加藤校長が、『東方のクラウンテラスで鳥がソアリングしている。行ってみよう。』と言います。兎に角、経験者の助言には従おうと、クラウンテラスへ向かいます。クラウンテラスは、U字渓の東端に位置する、高度200m程の台地です。この台地の形状が上空から見ると、台地から伸びる数本の尾根が王冠の突起のように見えるので、このように名付けられたのか?とは、小生の勝手な解釈です。台地の上に立って見ると正面はるかにコロネットピーク、パーク裏の杉林が見えます。風向きは、TO正面で問題なし。リッジをとるには、ちょっと風力が弱そうでした。それでも、シェフのひろしさんは飛ぶ気満々で真っ先に飛び出して行きます。ちょうどいいダミーとばかり、全員で見ていると案の定、徐々に高度を落として行き、視界から消えて行ってしまいました。『ほっといても、死にやせん。』と、風待ちを決め込みます。

 そのうち、後方に積雲が発達し、風力が増し始めました。ここで、残る全員がTO。リッジをひろって気持ちよくソアリング開始です。落っこちてしまった、ひろしさんは、その頃、通りすがりの地元のフライヤーの車を止めて、TOまで引き上げてくれるよう交渉中だったそうです。これが成功したので『オレの英語は、バリバリやで!』とその後自慢する、自慢する。結果全員が、長時間フライト成功。小生も、途中トップランディングしてから、再フライトする余裕です。しかし、風が強くなるに従って風下に向かう時のスピードが相当高く、風に向き合うとほとんどホバリング状態となり、TOポイントに正確にLDできるのは、加藤校長と、我がフライト監督のみとなりました。我々は、後方の広い牧草地にLDです。ここは、野生のウサギがいっぱいいて、パラを担いで歩いていると足元からウサギが飛び出して、草むらへ飛んで行きます。

しばらく、そうやって遊んでいる内にますます雲が発達してそこら中が、吸い上げ状態になってきました。ここで、フライト監督からLD命令が出て、本日の最終フライトとなりました。それでも、香港は、空域制限をギリギリに飛び回り、なかなか降りて来ませんでした。その夜は、オジサン3人衆の新宿舎で、シェフの手になるステーキを肴の、楽しい宴となりました。サラリーマン3人衆は、その夜はフライトパークへ戻りましたが、あんまり居心地が良かったので、最終日は、隣に同じ部屋を借りることにしました。毎夜のタイガーの轟音に少々疲れてしまったのも一つの理由でありました。

6日目

 本日も晴れ。一日中遊べる日としては、最終日です。ひろしさんが、朝食を作ってくれるので、パーク宿泊組も、モーテルに集合します。今日は馬で遊ぶ日です。日本を出る時から、フライト監督が『NZでは馬に乗る!』と勝手に宣言。フライトパーク入り口の馬牧場を見た時には、香港、ひろしさんも加わって『あれに乗させろ!裸馬でものってやる!』といきまくのです。これは、乗させないで帰ったら、帰国してから事ある度に文句を言われカナワン。そこで、昨日このモーテルを捜している時、ついでにホースライディングの予約をしておいたのです。料金はNZ$50/1人 です。

 朝、モーテルまで馬小屋から迎えが来てくれます。途中オーストラリア人のカップルを拾って行きます。馬小屋につくと、当たり前ですが馬がいっぱいいます。シェパードの小さいやつが、やたら人なつっこくて、お客さんの周りを走りまわって歓迎してくれます。しかし、田舎者なので、歓迎しながら、所かまわずシッコやウンコをします。いかにも、自然の中で、放ったらかしで育った感じ。妙にかわいい奴でした。到着すると、ヘルメットを与えられます。『馬に乗った経験は?』『初めて。』それならと説明してくれます。『あぶみにこうやって足をかけて鞍に乗る。たずなをこう引くと馬は右に向く、こうすれば左。たずなは真後ろに引かない様に。人の意志が馬に伝わりにくい。両方引けば止まる。膝は内に締める。両かかとで腹を蹴ると前進する。OK(オーカイ)?』以上で出発です。簡単!

馬

 8人の客の前後を、馬小屋のガイドが固めて山の中へ進みます。林の中をゆっくり進みますが、馬の背は結構ゆれるので落ちまいと膝に力を入れていると、すぐに股関節あたりが、痛くなってきます。力を入れるリズムも大事なようです。しばらくして、ちょっと開けた牧場のようなところに出ました。すると先頭のガイド曰く『走ろう!』ちょっと待ってヨ!初めて乗ってまだ10分ぐらいしか経ってないよ!そんな気持ちがとっさに声になるはずもなく、ガイドはドッと走り出します。よく、教育された馬達は、これに続けと一斉に走り出しました。あとは、必死に鞍にしがみつくのみ。前方で、タイガーが落馬しそうになっています。助けてくれーと言いたくなった頃ようやくガイドが止まってくれました。助かったと思ったものの、落馬しなかったことで、妙に自信みたいなものが出てきます。次は、もっとうまくリズムをとろう。なだらかな山のコースや、河原たどりながら、歩いたり走ったりで約90分のホースライディングでした。途中2つのグループに別れ、小生と別のグループは、馬の腹が浸かるほどの河を渡ったそうです。馬小屋に帰り地面に降りたら、足元がフラついていました。最初、日本の、ヒモに牽かれた乗馬を想像していたので、こんなに自由に走れたことは感激ものでした。

 午後は、コロネットピークからのNZ最後のフライトです。1本目は、問題なくTO。高くは上がれませんが、あちこちから上がってくるサーマルをつかまえて、気持ちよくソアリング。しかし2本目TOに上がって見ると、あまり風が良くありません。雲は、後ろから流れています。風向きは無風または、フォロー。先に上がっていた香港が一人さみしく待っています。さっきのフライトで、NZの空ともお別れかと思ったのですが、まだ日も高く、慌てて、下山しても仕方ないので、TO体制で、ぎりぎりまで風待ちすることにします。待つこと30分、一瞬アゲインストが入ったのをつかまえて、一斉にTOします。TOして後ろを見ると誰かがスタ沈したらしく、機体を担いで斜面を登っているのが見えました。例によって、斜面のサーマルをつかみ損ねた小生は、ジリジリと下降して行きます。他のメンバーは、うまくつかまえたたようで、ピークに向かって上昇しています。この中に、ウンバットの機体が見当たらないので、さっきスタ沈したのは奴かと思いました。このまま、LDしてしまっては、あまりにくやしいので、斜面はあきらめ、日の当たっている谷底のグランドサーマルをさがしに思い切って前へ出ました。

 眼下の牧場には、羊が小さな白い点になって一面散らばっています。牧場の中の丘がトリガーになっているハズと考え、上空に着けてみると有りました!0.5〜1m/sの弱さながら、丸くて、安定したサーマル。これにひたすら、しがみついて850〜950mの高度を上がったり下がったりして90分ほどフライト。しがみつくのに疲れて、LDしてみると他のメンバーは先にLDしていました。今回に限り、小生が最長時間フライト。だからどうした、と言われるかもしれませんが、コノ優越感が次のフライトの活力になるのです。比べる対象のない、パラなんてつまんないです。ところで、LDにはさっきスタ沈したはずのウンバットの姿が見えません。そういえば、小生がLDしようと思っていた時、TOに機体を1機広げてるのが見えました。まだしつこく飛ぼうとしているのか。もう日も傾いてきたし、しつこい奴だ、いいかげん諦めろなんて皆で悪口を言いながら、ウンバット抜きで、パーク最後の記念撮影。そうする内に、ウンバットが車で降りてきました。ここで判明したこと。スタ沈は、実はフライト監督で、ウンバットは回収を手伝い、監督が再TOしたのを見届けたものの、完全なフォローとなってしまったため、一人取り残されてしまったのです。人助けして、フライトできなくて、悪口言われて、車回収。リーダー本当にご苦労様でした!

 その晩は、NZ最後の夜と言うことで、クイーズタウンの中華料理店へ安田さんら10名と出かけました。誰がパラが一番うまいか?とか、一番へたか?とか、いつもの上げあい下げあいで盛り上がります。老酒も入って、いい調子になってきて、話題は、オジサンの好きな恋愛論に入って行きます。なぜか、女性参政権は不要だ!なんて暴論まで飛び出す始末。思わず周りを見回してしまいました。女性の皆さん、酔った上でのタワゴトですから怒らないで。その内、ここぞとばかりエエカッコして持論をブッていたひろしさん、突然『愛は宇宙だ!』と叫びました。いいかげん、うんざりしていたこともあり、安田さんから『そんなに大きい愛でここの勘定持ってもらおう』と緊急動議。全会一致で、ひろしさんは、カード提出を余儀なくさせられたのです。総額NZ$400。それから、エエカッコしたら即『カード出してから言え!』が合い言葉となってしまいました。ここでタイガー、ひろしさんの気持ちを代弁して『愛は割り勘だ!』楽しい食事も終わり、我々はモーテルに戻ります。

 しかし、これで終わりではありません。まだ飲み足りないと、新しく借りた方の家のリビングで、飲み会が続きます。その内、ウンバットがもう付き合いきれんと脱落。次、香港が風呂に入ると、隣に帰りました。それからどれだけ経ったでしょう、香港は一向に帰って来ないし、充分飲んだので残った我々も寝ることにしました。小生はそのまま風呂に入ってベッドにつきます。久々の静寂の夜、すぐ寝入ってしまいました。しかしその頃、隣の部屋は大変なことになっていました。フライト監督とひろしさんが自分達の家へ帰ったところ、天井から雨の様に水が降りそそいでいたのです。原因は、2階のバスルームでした。バスルームからあふれた水が、2階の踊り場から、1階のリビングルームに流れ落ちていたのです。香港が風呂に入って、寝た後、この惨事となった訳で、当然香港が追求されます。
『風呂入れっぱなしで溢れさせたヤロ。』
『チャウ!オレ風呂抜いただけヤ』
『なんで風呂抜いて水あふれるネン』
『排水管が詰まってたからヤ』
『なんで配水管詰まってテン』
『オレ台所の流しに料理クズぎょうさん捨てテン。これぐらいで詰まるのは、配水管欠陥ヤ!』
結局、香港が原因でした。この家の住人はAM2:00頃まで、床拭きに没頭させられたそうです。次の朝、モーテルのフロントにこの件を報告、オバチャンたいそう驚き現場検証。『今日は土曜日、修繕見積もりできない、請求先をここに書いて、後で送る』となり、香港に署名させ一件落着。

7日目

 今日は帰国する日です。午前中は、クイーンズタウンでの買い物に時間を充てました。各自勝手に動きまわりましたが、小さな街なので、その内互いの姿を見つけて全員集合となります。買い物も終わったところで、レンタカーを返しに行きました。街中で借りた車なので、店まで行きました。もしかしてと思い、この車空港まで乗っていってもいい?と聞いてみました。すると、『GASは満タンにした?OK(オーカイ)!空港の駐車場に入れて、ダッシュボードに駐車料金$3と車のキーを放り込んどいて。キーは掛けるなよ。』あまりに、おおらかなのでうれしくなってしまいます。

そろそろ、書くことも無くなってきました。残りを絞りだして頑張ります!

観光情報。

 空を飛ぶのが大好きな皆さん、いい遊びがココ、クイーズタウンに有ります。名前は『レッドブル』二人乗り複葉機の観光飛行です。クイーンズタウン空港から飛び立ち、しばらく上空を遊覧飛行。その内、垂直上昇、一転急降下、宙返りして背面飛行、再び垂直上昇、エンジン推力と重力が釣りあった所で空中停止、そのまま体を返して、急降下、宙返り…・・。こんなことしているのを、フライトパークから見ていました。料金:NZ$200です。ご希望の方はどうぞ。

 クイーンズタウン空港を発つと、後は、来た道を戻るだけです。クライストチャーチで出国手続き、オークランドで1時間のトランジット、そこからウンザリする長時間飛行。今度は、ファーストクラスは当たりませんでした。

 翌朝(8日目)ソウルで2時間のトランジット。ここでも、朝からビールだ!本場のキムチを肴にテーブルを囲んで、もう何話してたか覚えてませんが、ひろしさんが『皆、切符持ってる?オレ無い。』と言い出します。『なに言うてんネン!飛行機乗る時全員に渡したデ!』とリーダーイキリ立ちますが、無い物は無し。このままソウルへ置いて帰る訳にもいかず、大韓航空のカウンターへ行き、『私の友達ココで切符なくした。誰か届けてくれてない?』と聞きました。すると、どこかへ電話して『ムニャ ムニャ ><*+#“# $ % & ヒロシタバタ?』『なんでこいつオレの名前知ってんネン!』となぜか怒り出すひろしさん。誰かが、切符を拾って、搭乗口まで届けてくれていたのです。めでたし、めでたし。しかし、最後まで、リーダー疲れる!

 懐かしの関西空港着は、日曜日のPM 1:30でした。(できれば、途中悪天候で、NZ発てず、1週間帰国延期、を期待してましたが)

 月並みな言い方ですが、本当に短い1週間でした。これも全て、心配り細やかなリーダー:ウンバットのおかげです。さすが公務員!市民の下僕!日本の未来は明るい!つぎの幹事もお願いします。

(有)タスマニア企画社よりお知らせです。次回海外ツアーは、USA方面の予定です。(予定は予告なく変更されることがあります)参加人員募集中です。但し下記条件を満たした方に限定されます。
(1)結婚していること。
(2)家族に捨てられていること。
以上


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