「なんとかかんとかの初フライト」 多田信一 (99/09/02)


 一寸先は闇、予定は未定、決定と成らず。昔の人はうまい事を言うたもんです。僕は今まさにその状況で、僕が思いえがいていた(今日のうちに、上手にできないライズアップを練習して、次回来たときに初飛び)予定は脆くも崩れ去ってしまい、完全なる不完全のライズアップのまま、着々と初飛びの整いアッと言う間に岩屋山頂西テイクオフに着きました。ちなみに僕のヘルメットにインターコムを取り付けてくれたのは小泉さんです。どうもありがとうございました。

 それから平井さん、小泉さん等々の人たちが飛び出していき、平井さんなどはアッと言う間に雲の中に消えてしまい、雲の中ってどんな感じだろうと思っていると、最後に中浦さんが飛び出して行き、残っているのは僕と、校長と今日タンデムする予定の小林君と3人だけになってしまい少しさみしく思いました。

 そうこうしている内に、小泉さんもテイクオフして後は僕が飛び立つだけ...のはずが、

1度目 ライズアップ右に傾く (もちろん「ヤメ、ヤメ」と言われる)
    校長「怖がらんでもいいよ」 (小林君僕のキャノピーを広げてくれる)

2度目 ライズアップやっぱり右に傾く
    校長少し表情渋く「やっぱり右が傾くなぁー」 (言葉の語尾の声が少し大きくなる)

3度目 ライズアップさらに右に傾く
    校長すごくがまん「小林君、グリーンパークでする基本はホント大切やからな」(僕じゃなく小林君言われる)

 1度目の失敗のときはまあ良くあることだと思い、小林君と校長にキャノピーを広げてもらい、次こそはと2度目。また同じ失敗。穏やかな空気がピリリとした空気に校長の辺りからなってくるような感じがし、緊張感も高まり3度目...この瞬間「仏の顔も3度まで」と言う言葉が頭に浮かび、今の僕にぴったりの言葉だと思い、校長に「お前に次はないんだよ、さっさと降りてグリーンパークで練習だー」ぐらい言われると思っていたけれど、僕じゃなく小林君にグリーンパークでの基本の大切さを伝えていました。このとき、校長が僕に初飛びに嫌なイメージを残さないように、かなり気を使っていただいてるのがわかりました。でも、かなり気を使っている分、校長から怒りのオーラみたいなものが押し寄せてきて、いたたまれない状態で早く風よこいと祈りながら待った風は長かったです。

 永遠にこのままなのかと思っていると4度目のチャンスが訪れ、飛び立つと言うより、逃げ出すような気持ちで飛び出していました。気がつくと宙吊りになりながら浮かんでいる自分がいて、ふつふつと自分が一人で飛んでいるんだとゆう気持ちが湧き上がってきて感動していると、校長から無線で「ちゃんと座れ」と言われ、自分のみっともなさに気づきちゃんと座りなおし、無線に従って操縦しながら辺りの景色を見ていると、気分がいいのなんのって最高ですね。飛び出すまでの苦悩や、あわただしかった今までの事なんか忘れて自分の世界に入ってしまいそうになるくらいです。でも思ったより風が強く感じられたけども、またその風も気持ちいいー

 小泉さんが下から無線で誘導しながら、S字とか360度ターンとか言われるけど、ターンしながら、体のかたさを感じ、降りたら練習しなければいけない課題が身をもってわかりました。ちょっとつんのめったけど。でも、本当にすんごい体験ができ、気持ちのいい思いができ、みなさんありがとうございました。

 そして、小泉さんが事務所に住まわれている理由が、中浦さんが休みはすべてTAKに来る理由が、そして、ほとんど毎日のように通い、職業は?と聞かれたらパラと答える人達の気持ちが少し分かったような一日でした。


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