初飛びリポート 杉岡洋 ('05 04/29)




やっと初フライトできました。

まずは、好調先生、正一郎さん、長野さん、のんちゃん、ゆかさん、そして先輩フライヤーの皆さん、本当にありがとうございました。
感謝の気持ちでいっぱいです。
そしてそして、万代さん(石ころ?)の呪いが解かれたのだと確信して、ホッとしました。

実は先々週、僕より先に初フライトをした万代さんが羨ましくて、彼の初ランディングを見届けた後、ヤッカミの気持ちから石ころを投げつけてしまったのですが、それがばれてしまい、彼に呪いをかけられてしまったのです。
その呪いは強力で、先週16日、風の良い本当に初フライト日和の土曜日、僕も今日が人生の記念日になると、内心確信に近い想いがあった日、やっぱり校長から待ちに待った初フライトのお声がかかり、午後緊張の面持ちで山頂に向かったのですが、テイクオフに着くと何故か吹流しが徐々に向きを変えていき、数十分後には、とうとう木々を横から揺らすまでの風が吹く程、テイクオフは表情を変えてしまいました。

当然、その日僕は、そして先輩フライヤーの皆さんもスクールカーでの下山となりました。

頭では、初フライトを悪条件の中で出来ない事は分かっていますし、のんちゃんには「危険な事をしても何一ついい事なんかないですよね。」って言ってはいたものの、やっぱり心の中で盛り上がってしまった、初フライトへの昂りと緊張感はすぐには消えてくれず、自宅に帰っても、次の日、仕事をしていても、初フライトに向けて上がったテイクオフを思い出しては一人で緊張し、まだ単独では経験していない大空を一人で飛んでいる自分を想像しては、空を見上げ雲を眺めていました。

こんな調子じゃ仕事も手に付かない、明日火曜日は午前中だけなら無理やりだけど仕事を空けられる、そしたら飛べる!と勝手に決め付けてしまい、夕方スクールに電話を入れ明日の状況の予想を校長に聞くと、あまり芳しくないとの返事。そしてあせってはダメだよ、との諭しを受けて、ようやく冷静さを取り戻しました。
ところが、次の日の朝、ゆかさんから飛べそうな天気になっているとの電話。
何故? 昨日、校長の声でようやく冷静になれて、週末まではパラグライダーを忘れて仕事に集中しよう、と切り替えた所なのに・・・。今日は朝から仕事の段取りにしてしまっているのに・・・。やっぱり(呪い)、う〜んマンダム、もとい万代。

飛ぼうと思えば、飛べず。飛ばずと思えば飛べる・・・。

でも、いつまでも悪いことは続かない。

仕事が休めるかどうか微妙な状況でしたが、TAKの新しいメールアドレスをもらった時から、好転していったと思います。
次の日の仕事の予定が先に延び、TAKに行けるようになったのです。
当然、早速講習予約のメール。

その日は午前中はまずまずの天気。

立ち上げの練習をした後、午後からシュミレーターにぶら下がって、初フライトに備えました。
風の赴きが多少よろしくないのでは、との声もありましたが、テイクオフは大丈夫との長野さんの判断で、初フライトへ向けて2度目のテイクオフへ。
長野さんの判断どおり、正面から素直な風が入ってきており、先輩達は見ているのも楽しい位スムーズに立ち上げ、そしてテイクオフして行きます。

あっとう間に僕の順番が廻ってきました。それまでは、自分では冷静なつもりでいたのですが、プリマックスが広げられ、ハーネスに取り付けられた瞬間から、情況一遍、一気に血圧が上昇し、喉の奥が乾いていくのが感じられ、背中にも冷たいものが・・・・。

でも、何度も初フライトを見届けている長野さんは、「はい、深呼吸しようか。」と、正に僕の心境を見透かしているかの如くのタイミングで声をかけてくれて、それが又本当に頼れる声色で、す〜っと緊張が解けていき、「さ〜行こう。」と言う気持ちに変えてくれました。
その後はもう無線から聞こえる声のとおりに走って、手を上げ、離し、押さえ、ハーネスに座っていました。すると、周りの景色は校長にタンデムをしてもらっている時のものになっており、でもブレークを握っているのは自分。きっと、やったー、飛んだ!という思いが声にでていたと思います。
誘導をしてくれる声が、「加山ゆうどう」もとい、校長のものに代わり、実にスムーズ且つ的確で、まるですぐ横で見てくれているかの如く、僕の動きに指示を与えてくれました。

この間のフライトは僕にとって、絶対忘れられない宝物になると思います。

そして、数分の直線飛行の後、ターンしてランディングへ向かう指示のもと、誘導に従い旋回しながらランディング場を見下ろすと、そこにはのんちゃん先生の姿があり、まもなく誘導の声はスタンディングを指示、そしてフルブレークの声と同時にランディングののんちゃん先生も同じくフルブレークの格好。僕もフルブレーク、何の挙動変化のなく、す〜っと足が地面に着いていました。

後ろを振り向き、プリマックスが地面に降りた瞬間、心からやったー!という思いが込み上げ、それは僕の声になって出ていました。

のんちゃんが傍まで来てくれて、おめでとう、ありがとう、の握手を交わすと、校長も来てくれて握手をしようと手を差し伸べてもらった時、まだ僕はグローブをしている事に気付き、この偉大な人から今日、僕はフライトをもらったんだと、尊敬と感謝の気持ちがとめどなく溢れ出てきて、校長の「外さなくていいよ。」の言葉も勿体無さ過ぎるとばかりに、必死でグローブを外し、握手を交わしました。

もし、去年の5月、「パラグライダーにチャレンジ」を手にする事がなければ、もしTAKの紹介欄にマックスがミニパラを背負って校長を気取ってなければ、今日の僕はなかったかもしれません。

本当に、宝物の経験をくれたTAKとの出会いだったと思います。

又、初フライトに備えて、自分の無線をお守りに借してくれた良行さん、本当にありがとうございました。無線を2個持っているという安心感は、本当に心強かったです。

そして、冒頭の2度の初フライト断念の、万代さんの呪いの事ですが、実は、あれは呪いなんかじゃなかったんだ、とこうして振り返ってみると思います。

飛ぼうと思えば、飛べず。飛ばずと思えば飛べる・・・。

それは、パラグライダーとはそんなもの。

自然の中を、ちょっとお日様と風のご機嫌な時に僕たち人間が遊ばせてもらう、そんなものなんだよ、と先に教えてもらっていたんだと思えるようになりました。

万代さん、ごめんなさい。でも、僕のランディングをみて校長が、どんなマンダイ(どんなもんだい!)って言えるランディングだったよ、と褒めてくれました。

当然、石ころも飛んできませんでしたよ。


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